2025.12.26ブログ
風景画とは異なる景色

日本語では「光陰矢の如し」と目にも留まらぬ速さで目の前を飛んでいく矢に時間を例えているように、英語でも"Time flies."(直訳すると「時は飛ぶように過ぎる」となります)と言われるのは、東西を問わずその進みの速さがまるで飛んでいくように感じているからでしょう。
今年最後のブログに何を書こうかな、と思っていたのですが、整理整頓カウンセリング©を標榜するオフィスKとしては買った物の話を書くのも何だかとは思ったものの、やはり素敵なものとの出会いであったという事で、今年3枚目となった絵画のお話を書こうと思います。
このブログのアイキャッチにしているのが、その絵画です。(なお、今回もオフィスKのセンスの無い撮影の為、光の映り込みをGeminiに取り去って貰い、額が斜めになっていたのを真っ直ぐにして貰いました…)
オフィスKは以前ブログに書いた事があるように、高校時代に美術部に所属していた事がある位に絵などの芸術がとても好きです。
子供の頃からイラストを描いたりするのも大好きで、絵を良く描いていて学校の絵画コンクール等も何度も入賞した事もありました。
好きだからという理由で高校時代美術部に入部したのですが、そこで先輩が美大に進学する時のご苦労を見ていたり、当時美術部には同級生が一人だけしかいなかった(先輩と後輩は多くいたのですが、私の学年では二人しかいなかったのです)のですが、その彼女が本当に絵が上手で、才能というものが厳然としてあるという事を身に沁みて思い、芸大に進む事はありませんでした。
また、丁度私が高校の頃、「アマデウス」という名作の映画が上映されていて、同級生たちと映画館に観に行った事がありますが、その中のサリエリ(アマデウスというのは神童と称えられたモーツアルトの名前、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの一部で、「神に愛されし者」という意味だそうですが、映画の主人公はそのモーツアルトとは別の宮廷作曲家のサリエリというおじさまです)の嘆きをを噛み締めながら観た事を今も覚えています。
そして今回調べてみて分かったのですが、なんとその映画が4Kリマスターとなり映画館で今月頭まで放映されていたそうです。奇遇ですね。
私はサリエリのように天賦の才を羨むものの妬む事は無かったのですが、その代わり人生の糧として芸術を選ぶという事に関してはとても厳しい判断基準を持つようになりました。
それは、音楽にしろ美術にしろ、芸術と言われるもので生きていきたいのであれば、それを行わない(歌を歌う、楽器を演奏する、絵を描く、作品を作るなど)と生きていけない、という人でないといけないという事でした。
知り合いの方の娘さんが本当に絵が上手で、美大に行きたいと言っていたのを、その親御さんと二人して必死で止めたのも、素晴らしい才能があるとしても絵で生きて行く事は本当に厳しいと思ったからでした。
その方はその後日本の看護界のリーダーと指導的人材を多数育成してきた誉れ高い大学に進み、立派な看護師さんになりました。看護師という国家資格を持つ事で、本当に好きな事も出来るようになったのでは、と思います。
入学するのもなかなか難しい美大を卒業して食べていけるのは美術の先生になるか、デザインなどで会社に所属する等の他は、本当に一握りの方だと思います。音楽も同じく。学校の音楽の先生になるか、その楽器等の有名な指導者になる位でどうにか食べていけるかなという感じかと思います。
だからこそ、その芸術に携わっていないと生きていけない、という程に芸術に人生を賭ける生き方になってしまう方でないと難しいと思っています。
そして、私はこの絵を描いた方、久保尚子さんは、既に日展で特選を二度も受賞なさった素晴らしい才能がおありですが、そういう稀有な生き方が出来る方ではないか、と思いました。
絵を見て戴いてお分かりの通り、本当に緻密な筆致で描かれています。私オフィスKは風景画は余り惹かれる事がなく、人物画は飾るのに何だか躊躇するという事があり、静物画が好きという事があるのですが、こちらはモノクロのタイルの上の水たまりと水紋を描いた、ある種風景画と言えるものかもしれません。でも、風景というのとも違う気がします。景色、という方が合っているように思います。景色、という言葉は茶道具の、特に陶器に対して使う事があるのですが、焼きぐあいなどで現れた特別な色や模様などの風情の事を指し、例えば通常であれば欠けたり割れたりしてしまったものでも、そこに金継ぎで形を整えることで、キズが無かった時には生まれ得なかった美しさや風格が出て来る事を「景色」という言葉で表す事があります。
白と黒のモノトーンですが、その黒も墨黒のような静謐さがあり、白も深みがあると思いました。そして、景色でありつつタイルの直線的な動きで、まるで抽象画のようにも見えます。実は密かに碧い絵具も散らされています。
水面に写り込んだものは風景ではあるものの、これもまた景色と思います。
油絵によくある絵具を重ねたマチエール(質感とでも言うのでしょうか。絵画の用語です)がどうも苦手なのですが、この作品のマチエールの絵具の重なりは、水紋を表現するには不可欠なものであり、一般的に油絵に使われるキャンパスではなく木製パネルに描かれているというのも気に入った理由の一つでした。本当に何度も筆を重ねて描くという事で、キャンパスではなくパネルに描いていらっしゃる、というお話を画廊でお聞きして、その真面目なお人柄がそのまま映し出されたようにも思いました。
リンク先のサイトでご覧戴けるように、本当に美しい絵を描かれる方で、花のモチーフも多く描いていらっしゃいます。ブログでご紹介した今年1枚目の絵も画家の方のメインストリームとなるモチーフではなかったのですが、今回も同じで、サイトにお書きの文章を拝読するに、とても思い入れのあるモチーフのようでした。
通常、個人での画展があっても作者の先生はずっとその場にいらっしゃるという事は殆ど無いように思います。でも、久保尚子さんは毎日、ほぼ開場時間の間画廊にいらっしゃるようで、今回もそのお陰で絵についてお話をお聞きする事が出来、それもとてもありがたいことでした。お会いした久保さんは絵そのままに繊細で美しい方でした。
そんな事もあり、和の部屋にも、モダンな洋の部屋にも合う素敵な絵だ、と思いたった4カ月の間に3枚目の絵を迎えるという事に少し躊躇しつつ、出会いだなと思いました。
そして俗物的な考えですが、今ならまだ手が届くと思ったという事もあります。
今でも日展会友で無鑑査(出品するとそのまま選出されるそうです)で出品できる、デパートで個人の画展を行える程の方ですが、もっともっと有名になられて、どんどん号のお値段も手の届かない事になって後から後悔しても…と思ったというのもありました。
オフィスKは普段とても吝嗇なところがありますが、メリハリを利かせる事が多いのです。
オフィスKは昔マヌカンとして働いていた事がある、とHouzzの自己紹介のページにも書いていますが、その時にお客さまに「出会い」という言葉でお話をした事があります。人とも出会いですが、ものとも出会いがあります。後から悔やむより、少し(ここがポイントです。身の程、という事もあるので無理は禁物です)背伸びして、本当に素敵と思ったものをお迎えする事で、また頑張ろうと思ったりという事が私自身あった事から、そのようにお話していました。
そのお陰もあって、今回素敵な出会いがありとても嬉しく思います。来年に向けて、とても良い準備が出来たように思っています。
今年最後のブログ、熱が入って長くなってしまいました。
この一年が皆さまにとって素敵なものであった事を祈念し、来る2026年が更に素晴らしいものとなります事をお祈りして今年のブログの締めとさせて戴きます。
ちょっとしたことで、暮らしは楽しく、過ごしやすくなります。
厚木の暮らしをより良くするオフィスK。"暮らしを・ちょっと・気分よく"したいなと思った時、思い出して戴けますと幸甚です。
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